地域と産業

間伐(英語:thinning)とは? 間伐とは、森林の成長に応じて樹木の一部を伐採することで林内密度を適切に保つ作業のこと。 木々が密集した森林を間伐することで日の光が地表にまで届くようになるため、下草や木々の成長が促されて森林の多面的機能※が発揮されるほか、木々が根を張りやすくなることで建材に適した真っすぐで健康な木が育ちやすくなるという効果があります。 ※多面的機能:生物多様性保全、土砂災害防止、水源涵養、地球環境保全、レクリエーションなど、多方面にわたる機能のこと。 間伐によって間引いた木のことを「間伐材」と呼び、近年では薪や炭のほか、木質バイオマス燃料として活用したり、木々の個性を活かした製品作りなども盛んに行われています。 伐採との違い 伐採は木を伐る作業全般のことを指し、間伐はその中でも特に森林環境の健全化のために木を間引くことを指します。 間伐材マークとは 間伐材マークとは、間伐材を用いた商品に表示することができるマークのこと。 間伐の推進および間伐材の利用促進等の重要性をPRするとともに、消費者の製品選択に資することを目的に、全国森林組合連合会が認定します。   間伐の種類-定性間伐と定量間伐 間伐には主に定性間伐と定量間伐の2種類があります。 定性間伐 一本一本の木の形状や質を見極め、成長速度が遅いものや細いもの、曲がった木などを優先的に伐る間伐方法。間伐する木を選定する手間と時間が掛かりますが、日本林業では定性間伐が主流となっています。 定量間伐 間伐によって残す木の量を決めて行う間伐のこと。木の形状や質よりも林内密度を重視し、予め定めた密度になるまで機械的に伐採する手法です。選木に掛かる時間を短縮でき、定性間伐よりも低コストで作業できるというメリットがあります。   なぜ間伐が必要なのか・間伐を行うメリット 苗木を植えてから木材として活用できるようになるまで、40年~の歳月がかかり、その間少なくとも3回ほどは間伐を行う必要がある――。 そう聞くと、「植樹の際に木と木の間隔を空けて植えれば間伐は必要ないのではないか?」という疑問が湧きます。しかし、間伐を行うのには以下の①~③の理由があります。 ①良質な木材が育つ 杉や檜などの針葉樹は、密集させて植えることで太さが均一でまっすぐな建材としての価値が高い木に育つという性質があるため、間伐する前提で苗木を植える必要があります。 標準的な間伐率は20~30%ほどとされており、1haあたりに植えられる木の本数を3,000本程度と仮定すると、良質な木材を生産するためには600~900本/haを間伐で間引かなければならない計算になります。 ②自然環境保全につながる 適切な間伐が行われず込み合った状態の森林では、一本一本の木が互いの成長を阻害してしまうため、根も幹も細く弱弱しい木々が育ちます。 一方で、間伐を行うと健全な木々がすくすくと成長できるため、二酸化炭素の吸収力が増加。さらに、間伐材を木製品として加工することで木々が吸収した炭素を木の中に閉じ込めることができるため、地球温暖化の抑制につながると考えられています。 ③林業の活性化につながる 間伐対象となる木は森に残す木を健全に育てるために間引かれるものであり、良質な間伐材は建築材として利用できますし、規格外の場合もカットしたものを集めれば集成材として活用することができます。さらに、木炭化したり、チップ化して園芸やペット用品として活用する、木育おもちゃやインテリア、精油の素材等として活かすことで、新しい森林循環を生み出すこともできます。実際に、これらの木材を使った魅力的な商品が数多く生まれており、林業の新しい収益源となっています。  間伐材の利用方法・使い道 間伐地から運び出すのに費用が掛かることから、山野に放置され里山荒廃の一因ともされてきた間伐材ですが、近年ではさまざまな活用方法が模索されています。具体的にはどのように活用されているのでしょうか? 建築材・集成材 集積材とは、間伐材等の小径木の丸太を接着剤と加圧で繋ぎ合わせて作る建材のこと。一枚木の無垢材よりも長さや太さ等を自由に設計できることに加え、近年ではより強度を高めた集積材を使った木造高層ビル等も生まれています。 木質エクステリア エクステリアとは、庭や壁など建物の外観全体を指します。従来はコンクリートやレンガ、金属類が用いられるのが一般的でしたが、間伐材を活用した木塀、木柵などの利用が進んでいます。...