「継ぐことは、創ること」 あたらしい事業継承の教科書 TURNS vol.73【6/19最新号発売】
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¥880特集| 継ぐことは、創ること あたらしい事業承継の教科書
中小企業庁『2024年版中小企業白書』によると、2025年の中小企業の後継者不在率は五二・七%。改善傾向にはあるものの、後継者不足は以前として切実な問題です。
そして、継ぐと決めた人には「継いでからどうするのか」という重い問いが待ち受けています。変化の激しいこの時代、ただ先代の事業をそのまま継続すればいいケースはおそらく少数。残すべきものを大切に守りながら、未来を見据えてアップデートしていく!現代のアトツギたちにはそんな創造的な姿勢が求められます。
本号でリポートするのは、古きを活かし、新しきを拓く、事業承継の最前線。
第一特集では近年注目を集める、家族や親族ではない者が事業を継ぐ「第三者承継」にフォーカスを絞ります。
巻頭レポート
栃木県・那須町|株式会社のもり山川将弘さんの物語
受け継がれた思想が酪農の未来をひらく
那須の森からはじまる、新しい価値の循環
二つの事業承継から始まった営みが、ひとつの事業へと編み直されていった。「森林ノ牧場」 と「チーズ工房那須の森」。それぞれに培われてきた価値をつなぎ直し、2025 年、両社は「株 式会社のもり」として統合された。
その試みは、酪農という産業そのもののあり方に問い を投げ掛けている。全国で話題を呼んでいる、バターづくりの過程で生まれる副産物のス キムミルクを利活用したスイーツ「バターのいとこ」の誕生が、その代表例だ。継いだのは、 牧場や工房そのものだけではない。酪農を通して、価値を生み出し続ける思想だった。


宮崎県・高原町 |vote 関島美弥さんの物語
九州各地から来店が絶えない「倉庫カフェ」
継ぎ手と譲り手の思いが呼応した幸福な承継のかたち
電話番号なし、看板なし、連絡方法はインスタグラムのメッセージ機能のみ。それでも県外からの来店が絶えない人気店が宮崎県高原町にある。
カフェ兼ベーカリー「vote」。高原町のパン屋を事業承継した関島美弥さんが2022年にオープンさせた。千葉県在住だった関島さんが人口減少の続く町に移住し、起業したのはなぜなのか。その背景には、継ぎ手と譲り手との“幸せな関係性”があった。


鳥取県・伯耆町|株式会社上代 遠藤みさとさんの物語
24歳の新社長が廃業寸前の酒蔵を救うまで
思いのバトンをつなぐことが私たちのまちづくり
高齢化や人口減に悩む小さな集落の願いが込められた会社を、24 歳の若さで受け継いだ女性がいる。
鳥取県伯耆町でどぶろくを造る株式会社「上代」の4 代目社長、遠藤みさとさんだ。「楽しそう」の一 言で始まった事業承継。自身の働き方を模索する若者の思いと、地域住民らが立ち上げ、紡いできた思 いや文化は重なっていく。廃業寸前だった会社は、売り上げが急増。若者の視点と行動によって、小さ な酒蔵は、地域を未来につないでいく拠点へと育ってきている。


岩手県・奥州市|鐵喫茶 a-hūṃ 太田和美さんの物語
職人のまちの社交文化を未来につなぐ
スナックを継いだ地域おこし協力隊の決意
長年、地域の集いの場だった店を第三者が引き継ぐ想像しただけで、その責任の重さに尻込みしてしまう。
ましてや、移住してきたばかりの地域おこし協力隊となれば、なおのことだろう。しかし、南部鉄器のまち・岩手県奥州市で職人たちの“サロン”として愛されたスナック喫茶を引き継いだ太田和美さんは、初めて店の扉を開けたその日に事業承継を決断した。
「この店をなくしたくない」
その直感を原動力に、これからの時代に末永く続けていけるサロンの形を探求する毎日だ。


第二特集|「家業」をめぐる冒険
家業とはままならないものだ。見知った地域、見慣れた顔ぶれへの親しみもある一方で、楽な道ではないことは先代らの姿を通してよく知っている。家族と仕事仲間としての関係を結ぶ環境も、時に心理的な負担となってのしかかってくるだろう。
それでも、家業を継ぐ人たちはいる。「同族外」による承継の数が増加傾向にあるとはいえ、現在も六割程度は親族内承継。あえて困難な選択をした彼ら彼女らは、一体何を支えに歩みを進めてきたのか。
その道のりを紐解くことで浮かび上がるのは、固有のドラマに満ちた人生の物語。「継ぐ」という営為の本質を体現するアトツギたちの現在地に迫ります。
滋賀県・高島市|総合建設業「SAWAMURA」 澤村幸一郎さんを訪ねて
なぜ地方の工務店に就職希望者が殺到するのか?
若き3代目が耕す、地域に誇りを灯す仕事
事業承継するアトツギは五十歳前後が最も多いとされる。経験を 充分に積んでから継ぐのは確かに一つの選択肢。一方で、若くして 継ぐからこその強みもある。その好例が、滋賀県高島市の総合建設業「SAWAMURA」。
かつて公共工事中心だった工務店は、今ではまちづ くりの中核を担い、会社説明会で行列ができるほどの人気企業に。そ の躍進を担ったのが、二十五歳での事業承継後、地域への想いを胸に 多様な人材の強みを活かしてきた三代目・澤村幸一郎さんだ


福岡県・柳川市|株式会社乗富鉄工所 乘冨賢蔵さんを訪ねて
僕たちが生み出すのは人を活かす生態系
水門メーカーの三代目が実践する〝哲学経営〟
アトツギは就業する業界や業種を選べない。だからこそ、あらかじめ決められていた家業の中に、自らが受け継ぐことの意味を探す。そんな時に求められるのはきっと、柔軟かつ深い洞察だ。
川下りで有名な福岡県柳川市にある水門メーカー乗富鉄工所の3代目、乘冨賢蔵さんは水辺で人が生きることの意味を問うことで、家業の新たな可能性を拓いてきた。その取り組みは現在、会社という枠を越え、地域全体へと射程を広げつつある。


大分県・日田市|田島山業株式会社 田島大輔さんを訪ねて
僕らは木ではなく「森の価値」を売る
親子二代で辿り着いた林業の最先端
もしも先祖代々八百年以上も守ってきた広大な森を継ぐことになったら。想像するだけで悩ましい。この時代、林業を続けていくのは容易なことではない。しかし、八百年の歴史はあまりに重い。そんな困難な道を自らの意思で選んだのが、大分県日田市の田島山業株式会社のアトツギである田島大輔さんだ。
父の思いを受け継ぎ、試行錯誤を重ねた末に辿り着いたのは、豊かな森を育てること自体を価値に変えていくという発想の転換だった。


茨城県・日立市|株式会社マイステック 石川美菜子さんを訪ねて
受け継いだのは「人が好き」の精神
三代目が夢見るウェルビーイング革命
ものづくりのまち、茨城県日立市でエネルギー関連機器の部品製造を手掛ける株式会社マイステック。
〝〇〇家具状態〟と言われたほどの父娘の不仲を乗り越え、事業承継を果たした社長の石川美菜子さんは、人を大切にするという社風をさらにアップデートさせ、ウェルビーイングで持続可能な経営に取り組んでいる。
業績や利益を上げることだけではない、社員一人ひとりが活き活きと働ける職場作りは、その先のさらに大きな夢につながっていた。


山梨県・都留市|有限会社モールドモデル 佐藤 賢さんを訪ねて
遠回りした僕が気づいた「継ぐ」ことの本質
家業も地域も多様な人が交わることで再生する
世界を舞台に巨額を動かすファンドマネージャーから転身、富士山麓の小さな工場を継いだ男性がいる。石膏鋳造を手掛ける「モールドモデル」副社長の佐藤賢さんは、父親が興した会社の価値を高めるべく新規事業創出にも知恵を絞る。
地元の教育機関や同世代とも手を携え、若年層がふるさとで挑戦しやすい環境づくりにも着手した。一人で灯した小さな種火は、周囲の人々の心にも火をつける熱源になりつつある。
職人の手仕事と地域の活力を、次世代へつなぐ挑戦が始まった。


連載ほか
新潟県小千谷市
挑戦を応援する、一人ひとりが主役のまちづくり
三十代、四十代から林業の世界へ
新たなチャレンジをサポートする、さまざまな支援制度
これからの官民連携
インフラの守り手から未来の創り手へ建設業が拓く地域の可能性
TURNSパーソン 人生は何度でも”ターン”できる。
桜井貴斗のTURNS的ローカル季評
地域おこし協力隊リポート
おもしろい地域には理由がある。
全国の優良事例から学ぶ『持続可能な地域づくり』
地域おこし協力隊のトリセツ
自由を求めて、すれ違う制度運用
Local to Global プログラム 開催レポート
わたしもTURNSになりました
読んで、僕も考えた。
井上岳一
よく見ると動いているアサダワタル
地域✕投資の学校人生を豊かにする「投資」のはじめ方
素晴らしきローカル土産
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